AIエージェントの作り方|あなたの知識を“AIに注ぎ込む”仕組みを作る1
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AIエージェントの作り方(第3回)|あなたの知識を“AIに注ぎ込む”仕組みを作る
この記事では、RAG型AIエージェントの構築方法について、初心者の方でも理解しやすいように解説します。 システムエンジニアやプログラマが担うべき役割も交えながら、現実的な導入ステップを紹介します。
はじめに:「どんなAIエージェントを作るか」を最初に決める
実は、本来一番初めに行うべきなのが「どのようなAIエージェントを目指すのか」という設計です。- どこまで回答させるのか
- 回答できないときはどう対応させるのか(再質問?人に引き継ぐ?)
- どんな言葉づかいで応答するのか(丁寧?カジュアル?キャラクター性あり?)
この設計フェーズでは:
- 誰がどこまで関わるかの「チーム設計」
- マニュアルを誰が作るのか(部署ごと)
- 衝突が起きたときの調整役をどうするか
- 人員の役割分担、確認体制、承認プロセス
※このあたりを曖昧にしたまま始めると、必ず途中で詰まります。 AIエージェントの設計とは、「仕組みの設計」だけでなく「関わる人の動き方まで含めてデザインすること」なのです。
ステップ1:“知識”を用意する(ユーザー側の作業)
AIは勝手に知識を持っているわけではありません。RAG型では、あなたが持っているノウハウや社内のマニュアル・資料がAIの“答えのもと”になります。- 業務マニュアルや手順書、過去のQ&A、商品説明書など
- 形式はWord、PDF、テキスト、HTMLでもOK(後で加工)
- 整理されていない場合は、ヒアリングして文章にする作業が必要
ここが一番地味で大変。でもここがなければAIは何も答えられません。
ステップ2:情報を“構造化”する(ユーザー+エンジニア協力)
次にやることは、情報をカテゴリーごとに分けて、チャンク(意味のかたまり=最小単位)としてまとめることです。たとえば「犬の無駄吠えをやめさせたい」という“問題A”があったとします。つまり「1つの問題に対して、条件ごとの答えを整理していく」だけ。
この問題Aに対して、場面によって答えが変わります。
- 人が来ると吠える → 対策A1
- 玄関チャイムに吠える → 対策A2
- 特定の人にだけ吠える → 対策A3
このとき、「問題Aの場面1+回答1」が1チャンクです。条件ごとに分けたそれぞれの回答単位がチャンクになります。
現実には「原因」「準備」「対策」のような段階構成になることもあります。どこまで細かく記述するか、粒度を揃えるのもエンジニアがサポートすべきところです。
※この“粒度の不一致”は現場で非常によく起きます。 ある部署では細かすぎて長文、しかも読みづらい。 一方で、別の部署では簡潔すぎて情報が足りない。 文体もバラバラになり、AIの理解精度が落ちる原因になります。これをExcelでまとめるのでもOK。以下のように簡単に構成できます。
こうした問題に対処する方法として:これらの仕組みを整えるのも、エンジニアや構築支援者の役割です。
- 最初に「書き方マニュアル(テンプレート)」を配布する
- 専用のGPTsを用意し、文章をリライト・統一させる
- メンテナンス時の“破綻”を防ぐため、投稿チェックフローを整備する
問題A(犬の無駄吠え) | 条件(場面) | 対策 |
---|---|---|
犬の無駄吠え | 人が来ると | 対策A1 |
犬の無駄吠え | 玄関チャイムが鳴ると | 対策A2 |
犬の無駄吠え | 特定の人が来ると | 対策A3 |
ステップ3:AIが“読める形”に変換する(エンジニアの作業)
構造化されたデータは、そのままではAIに読めません。AIが読み取りやすいように、ひと工夫された形に変える必要があります。- ユーザーから見れば、「AIが読めるように変換されている」と思ってくれればOK
- 実際の作業はエンジニアが専用のツールなどで行います
- この処理は、AIの辞書に情報を登録するようなイメージです
※難しく考える必要はありません。「AIが分かるように、知識を整理して登録する作業がある」くらいの理解で大丈夫です。この処理で変換された情報は、通常クラウド上(インターネット上のサーバー)に保存されます。
※「自分のパソコンに置けないのか?」と思う人もいるかもしれませんが、今のAIはクラウド上で動いていることが多く、そこにある“AIの頭”に届くように、知識も同じ場所に置いておく必要があります。
だから、いきなり全部パソコン内だけで完結するのは難しいです。
とはいえ、「自分専用の知識帳(辞書やテンプレート)を持ちたい」「いつでも呼び出して使いたい」という願いはもっともです。
そういう“小さな自分用AI”を持てたら、作業効率は一気に上がります。
今後は、そうした個人向けの仕組みも進化していくはずです。
ステップ4:質問を“探しにいく動き”に変える(エンジニアの作業)
ここまでで、AIが読むための“知識の棚”を作りました。
でも、棚があるだけでは答えは出てきません。
誰かが質問したときに、その棚の中から「ぴったりの引き出し」を探し出す動きが必要です。
それが、AIエージェントが“検索”するということです。
「チャイムが鳴ると犬が吠える」と質問されたときに、\n> その言葉に“近い意味”を持つチャンク(知識のかたまり)を見つけ出します。
ここで重要なのは、「キーワードが一致しているか」ではなく、「意味が近いかどうか」で探すところ。
たとえば、「ピンポンが鳴ると犬が吠える」と書いてあっても、
「チャイム」と「ピンポン」が似た意味として扱われるなら、それをちゃんと見つけてくれます。
これが、RAG型AIの“賢さ”のひとつです。
この処理はAIエージェントの内部で行われますが、使う側が理解しておくべきことが1つだけあります。
登録されたチャンクの文が、自然な日本語になっているかどうか。
あまりに箇条書きすぎたり、略語や専門語ばかりだと、質問との“意味のつながり”が見えなくなってしまいます。
だからこそ、エンジニアや導入支援者が「書き直し」や「言い換え」を提案してあげる必要があります。
ステップ5:「答え」を“話せる形”にして返す(エンジニアの作業)
質問にぴったりの答えを探し出しても、それをそのまま返せばいい…というわけではありません。
最後のステップでは、“人に伝わるように話す形”に整えてから出力します。
ここで大事なのは、「どこに出力するか」「どういう見せ方をするか」です。
-
チャット形式で会話のように返す?
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管理画面に項目別で並べて見せる?
-
PDFやメールとして送信する?
など、出力の形は目的によって変わります。
たとえば現場のスタッフに対して、機械の操作方法をAIに聞いたら、\n> 図付きの手順書が画面にポンと表示される。\n>\n> あるいは、営業がスマホで質問したら、1分以内に答えが会話形式で返ってくる。\n>\n> それだけでも“仕事が楽になる”実感につながります。
この出力の設計をどうするかも、エンジニアや導入支援者の役割です。
-
誰がどう使うのか
-
どこで、何を使って見るのか
-
どのくらいのスピードで応答が必要か
そういった“使う側の現実”をちゃんと聞き取って、技術的な出力方法に落とし込む必要があります。
ステップ6:導入後に“生きたAI”として育てる(運用フェーズ)
AIエージェントは、作って終わりではありません。
むしろ使い始めてからが本番です。
-
実際にどの質問にどう答えたか
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想定外の質問が来たときどうなったか
-
ユーザーが満足したか、困ったか
こうしたやりとりの中で、「あ、この部分はもっと分かりやすくできそうだな」とか
「この質問はまだ答えられていないな」という発見が出てきます。
それをフィードバックとして反映し、AIに“もう少し詳しい答え”や“別の言い回し”を教え直していく。
このサイクルを回すことで、AIエージェントはあなたの会社にフィットしていくのです。
※つまり「ナリッジを育てる」という視点が大事になります。\n> \n> 作ったあと、誰がそれを見直すか。更新するか。改善を提案するか。\n> そういった“育てる体制”まで含めて、AIエージェントの導入成功です。