システム開発

python の exe 化 動かない | pyinstaller Error 13 からの脱出

「Python(パイソン)で作ったプログラムを、ダブルクリックで動くファイル(=exeファイル)にしたい!」
そんなふうに思って、ネットで調べてPyInstaller(パイインストーラー)という道具を使ってみた人も多いと思います。

でも、作ったはずのexeファイルが「動かない」「エラーが出る」「そもそも作れない」――。
とくに「Error 13(エラー13)」と出て止まってしまったとき、「えっ、何それ?」ってなりますよね。

このページでは、

Pythonのプログラムがexe化(エグゼか)できない

作ったexeファイルが動かない

フォルダごとまとめたいのにうまくいかない

ライブラリ(便利な追加機能)を使ってるせいで失敗する
…といったトラブルの原因と、カンタンな直し方を紹介します。



Step 1:コマンドプロンプトを開こう(大事な操作の入り口)

PyInstallerをインストールするときは、「コマンドプロンプト」という黒い画面を使います。今後、「管理者として実行」が必要になる場面もあるので、ここでしっかり覚えておきましょう。


■ 一番確実な開き方(管理者として実行する方法)

  1. キーボードの「Windowsキー(田のマーク)」を押す

  2. 出てきた検索バーに「コマンドプロンプト」と入力
      → 表示されないときは、「cmd.exe」と打つと出ることもあります

  3. 出てきた「コマンドプロンプト」を右クリック

  4. 管理者として実行」をクリック

💡 コマンドプロンプトが見つからないときの対処法


  • 「cmd」だけだとEnterキーで即起動してしまい、右クリックメニューが使えません。

  • 一覧に表示されないときは、「cmd.exe」としっかり打ってみてください。

  • それでも出てこない場合は、「Windowsキー + R」を押して「cmd」と入力してEnterを押すことで普通のコマンドプロンプトが開けます(※この方法では管理者としては起動できません)。

よく使うのでピン留めしておこう!
出てきた「コマンドプロンプト」を右クリック → 「スタートにピン留めする」や「タスクバーにピン留めする」で、次から探す手間が減ります。




Step 2:Pythonがちゃんと使えるか確認しよう(入っていなければインストールまで)

PyInstaller(パイインストーラー)を使うには、Python(パイソン)という道具が必要です。まずは、Pythonがすでにパソコンに入っているかを確認します。


■ Python が入っているか調べる

さっき開いた「コマンドプロンプト」に、次のように入力してみてください:


C:\Users\XXXX\>python --version
Python 3.10.8
このように数字が出ればOK!Pythonはすでに使える状態です。次のステップへ進みましょう。



エラーが出た人へ:「Pythonが入っていない」または「パソコンが場所を覚えていない」状態です

たとえば次のようなエラーが出る人は、Pythonをこれからインストールする必要があります:


C:\Users\XXXX\>python --version
'python' は、内部コマンドまたは外部コマンド...



▼ Pythonのインストール方法(はじめてでも安心)

① Pythonの公式ページを開く

下のリンクをクリックします:

👉 https://www.python.org/downloads/

すると、今のパソコンに合った最新版(例:Python 3.12.2など)のダウンロードボタンが自動で表示されます。


② 「Download Python 〇〇」ボタンをクリック

黄色い大きなボタン(Download Python 3.〇〇)をクリックすると、ファイルのダウンロードが始まります。


③ ダウンロードしたファイルをダブルクリックして開く

パソコンの下のほうや「ダウンロード」フォルダに入っている .exe ファイルをダブルクリックします。

すると、次のようなインストール画面が出てきます。





④ 一番下の「チェックボックス」に注意!(ここが超重要)

画面の一番下に、次のような表示があります:

Add Python 3.x to PATH

このチェックを必ず入れてください!


💡 これは「Pythonの場所をパソコンに登録する」設定です。
これを入れないと、さっきの python --version が使えないままになります。




⑤ チェックを入れたら「Install Now(インストール)」をクリック

あとはそのまま進めばOKです。

数分で終わります。終わったら「Close(閉じる)」ボタンを押します。





⑥ インストールが終わったら、もう一度コマンドプロンプトで確認

再び以下を入力:


C:\Users\XXXX\>python --version
Python 3.10.8



ちゃんとバージョンが表示されれば、Pythonの準備は完了です!





▼ チェックを入れずにインストールしてしまった人へ

あとから修正するのは少し面倒なので、一度アンインストール(削除)してから、もう一度やり直すのが一番カンタンです。


■ アンインストールの手順(Windowsの場合)

  1. 「スタート」メニューを開く

  2. 「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ一覧」を開く

  3. 「Python 3.x.x」を探す

  4. 「…(右の三点メニュー)」→「アンインストール」を選ぶ

そのあと、上の「①〜⑤」の手順でもう一度インストールし直してください。
今度は、かならず「Add Python to PATH」にチェックを入れるのを忘れずに!




これで、Pythonが使える状態になりました。

試してみましょう。
sample.py という名前のファイルを作って(テキストエディタを使います:terapad の紹介)
(練習のためダウンロードフォルダーに作るものとします。)
0001 import time
0002 from tkinter import ttk, Tk
0003
0004 def update():
0005 label.configure(text=time.strftime('%H:%M:%S'))
0006 label.after(1000, update)
0007
0008 app = Tk()
0009 app.title("Sample")
0010 app.geometry("300x100")
0011 app["bg"] = "white"
0012
0013 clock = ttk.Style()
0014 clock.configure('TLabel', background='blue', foreground='white')
0015
0016 label = ttk.Label(app, text="開始", font=('arial', 50))
0017 label.pack(expand=True)
0018
0019 label.after(1000, update)
0020
0021 app.mainloop()

コマンドプロンプトを立ち上げて、CD コマンドを使ってダウンロードまで移動して sample.py を動かします。
C:\Users\XXXX\>cd \
C:\Users\XXXX\>cd Users
C:\Users\XXXX\>cd Downloads
C:\Users\XXXX\>python sample.py
 

こんな画面が表示されたらOKです。

でない場合は、コマンドプロンプトにエラーメッセージが表示されます。
通常は、それを解決してあげますが、今回は、サンプルで、すでに動いているものをsample.pyにいれてもらってるので、エラーが出るとしたら、pythonがインストールされていない、もしくは上記のように入力されていないことが考えられます。
※ pythonは、コマンド文の前にある空白の数が重要な意味を持っていますので、気を付けてください。
基本は、空白4つ、もしくはTabです。
※混在は許されません。

次は、いよいよ「pip」という道具を使って、PyInstallerをインストールするステップです。



Step 3:Pythonのインストーラ(PyInstaller)を入れよう

ここまでで「Python本体」がちゃんと使えるようになりました。
次は、「PyInstaller(パイインストーラー)」というツールをインストールします。

このPyInstallerは、Pythonで作ったプログラムを、ダブルクリックで動かせるexeファイルに変える道具です。





■ インストールの前に:コマンドプロンプトを「管理者モード」で開こう

PyInstallerのインストールでは、管理者モードでコマンドプロンプトを開いておくことがとても重要です。普通の起動ではうまく動かない場合があります。


▼ 管理者としてコマンドプロンプトを開く方法(Windows)

  1. キーボードの「Windowsキー(田のマーク)」を押す

  2. 検索バーに「コマンドプロンプト」と入力
      → 出てこない場合は「cmd.exe」と入力

  3. 出てきた「コマンドプロンプト」アイコンを右クリック

  4. 管理者として実行」を選ぶ

✅ 今後も使うので「スタートにピン留め」や「タスクバーにピン留め」しておくと便利です!




■ PyInstallerをインストールする手順

管理者モードのコマンドプロンプトが開けたら、次のコマンドを入力します:


C:\Users\XXXX\>pip install pyinstaller
pip(ピップ)というのは、Pythonに追加機能を入れるときに使う道具です。
このコマンドを打つことで、PyInstallerがインターネットから自動でダウンロードされて、パソコンにインストールされます。



■ 成功するとどうなる?

うまくいくと、最後にこんな感じのメッセージが出ます:


Successfully installed pyinstaller-5.x.x



このメッセージが出たら、インストール成功です!おめでとうございます!





■ うまくいかないとき(エラーが出るとき)

PyInstallerのインストールがうまくいかない場合、以下の原因が考えられます。





'pip' は、内部コマンドまたは外部コマンド... と出る

これは、Pythonが正しくインストールされていないか、「PATHの設定」ができていないときに出るエラーです。


対処法


  • Pythonを再インストールするときに、「Add Python to PATH」に必ずチェックを入れてください(Step2参照)。




Permission denied(アクセスできません)などのエラーが出る

このエラーは、コマンドプロンプトを管理者モードで開いていないときに出ることが多いです。とくにセキュリティ設定が強いパソコンでは必ず確認しましょう。


対処法


  • 一度コマンドプロンプトを閉じて、「管理者として実行」で開き直してから、もう一度コマンドを入力してください。




③ インストールが途中で止まる/ダウンロードに失敗する

インターネットの接続が不安定だったり、タイミングによってはインストールが途中で止まることがあります。


対処法


  • もう一度同じコマンドを入力してやり直す

  • 少し時間をおいてから再試行

  • Wi-Fiなどのネット接続状況を確認



エラーが出ても、あわてず一つずつ確認していけば大丈夫です!
これで、Pythonファイルをexeに変える準備が完了しました。

次はいよいよ、PyInstallerを使ってexeファイルを作る方法を説明します!





Step 4:Pythonプログラムの exe化※exeファイルが出来上がっても案外動かないことが多いんだ。

※exeファイルが出来上がっても、案外うまく動かないことが多いんだ。

ようやくここまで来ました!
Pythonで作った自分のプログラムを、「ダブルクリックで動かせるexeファイル」に変える方法をやっていきます。

でも、ここで気をつけてほしいことがあります。
「exeファイルが作れた=成功!」ではありません。
実は、ちゃんと動かないこともよくあるんです。

この記事では、exe化のやり方注意すべきポイント(特にトラブルの元)をセットで解説します。





■ exeファイルを作る基本のコマンド

まず、pyinstallerを使ってexeファイルを作る基本コマンドはこちら:


C:\Users\XXXX\>pyinstaller ファイル名.py
 

※cd をつかってソースファイルのある場所に移動することを忘れずに。
たとえば、main.py というファイルをexe化したいならこうなります:
C:\Users\XXXX\>pyinstaller main.py
 

■ どこにexeができるの?

コマンドを実行すると、同じフォルダ内にこんなフォルダが作られます:

  • dist(ここにexeファイルが入っています)

  • build(途中の作業ファイル)

  • sample.spec(設定ファイル)

つまり、distフォルダの中に完成したexeファイルがあるということです。





■ でも、「できたexe」がうまく動かない原因は?

❌ よくある失敗①:ウイルスと間違われて止められる

最近のアンチウイルスソフト(セキュリティソフト)は、知らないexeファイルを「ウイルスかも」と判断してブロックすることがあります。

このとき、「作業中にエラーが出る」「exeが動かない」「そもそも書き込めない」ということが起こります。


対処法


  • exeファイルを作る前に、一時的にアンチウイルスを止める(セキュリティソフトの設定から「リアルタイム保護をオフ」など)

  • 作ったあとは、ちゃんと元に戻すのを忘れずに!




❌ よくある失敗②:管理者モードでやっていない

「普通のコマンドプロンプト(cmd)でPythonは動くから」といって、管理者モードじゃない状態でPyInstallerを実行すると、exe化自体はできたように見えても、細かいところで不具合が出ることがよくあります。


対処法
PyInstallerを使うときは、必ず「管理者として実行」したコマンドプロンプトでやる!

▼ 管理者モードでの起動(もう一度おさらい)

  1. 「Windowsキー」を押す

  2. 「コマンドプロンプト」と入力

  3. アイコンを右クリック → 「管理者として実行

📌 cmdと打ってEnterするだけだと「管理者モード」ではありません。
exe化での不具合の原因になるので注意です!




■ PyInstaller のオプションを使いこなそう

PyInstallerには、追加でつけられる「オプション」がいくつかあります。これをつけることで、使いやすく、配りやすいexeファイルを作ることができます。





--onefile(ワンファイルにまとめる)

PyInstallerの基本設定では、exeファイルのほかにもいろいろな補助ファイルが一緒に作られます。
でもこのオプションをつけると、全部を1つのexeファイルにまとめてくれるんです。


💡 使い方の例:

C:\Users\XXXX\>pyinstaller --onefile main.py

📂 出力先:distフォルダに、1つだけのexeファイルができます。
📌 注意点:起動時に少し時間がかかることがあります(初回展開に時間がかかるため)。




--noconsole(黒い画面を出さない)

通常のexe化では、プログラムを実行すると黒い画面(コマンドプロンプト)が一緒に出ます。
これは「裏側で何が起きているか見るため」のものですが、画面を見せたくないアプリ(たとえばウィンドウだけ出すGUIアプリ)ではじゃまになることも。


💡 使い方の例:

C:\Users\XXXX\>pyinstaller --onefile --noconsole main.py

📌 注意点:このオプションを使うとprint()で出力される情報が見えなくなるので、デバッグ(動作確認)中は使わないほうがいいです。




--icon=アイコンファイル.ico(アイコンをつける)

作ったexeファイルに、好きなアイコンをつけることができます。見た目がちゃんとしていると、配布用のアプリっぽくなって気分が上がります!


💡 使い方の例:

C:\Users\XXXX\>pyinstaller --onefile --icon=myicon.ico main.py

📌 注意点:アイコンファイルは「.ico形式」じゃないとエラーになります。




■ オプションは組み合わせて使える!

オプションは1つだけでなく、いくつかまとめて使うこともできます。

たとえば:


C:\Users\XXXX\>pyinstaller --onefile --noconsole --icon=myicon.ico main.py

このように書くことで、


  • 1ファイルにまとめられて

  • 黒い画面は出ず

  • 好きなアイコン付きのexeファイルが完成します!



■ よく使うオプションまとめ(一覧)

オプション効果
--onefileすべて1つのexeにまとめる
--noconsole黒いコマンド画面を表示しない(GUIアプリ向け)
--icon=○○.icoexeファイルに好きなアイコンをつけられる
--clean古いキャッシュを削除してからビルドする
--add-data画像や設定ファイルなど、必要なファイルを一緒に含める

💡 --add-dataの使い方など、詳しいオプションは別記事でじっくり解説予定です!



これで、「ただexeを作る」だけじゃなく、「ちゃんと使いやすく仕上げる」ところまでしっかりできるようになります!





Pythonプログラムのexe化は「作って終わり」じゃない

ここまでで、Pythonで作ったプログラムを「exeファイル」に変える手順と、そのときによくある失敗や注意点を学んできました。

もう一度、ポイントだけをしっかり整理しておきましょう。





✅ exe化の基本手順

  • コマンドプロンプトを「管理者として実行」で開く

  • pyinstaller main.py を実行(main.py は自分のファイル名)

  • dist フォルダの中にexeファイルができる



✅ よくあるトラブルと対処法

トラブル例原因対処法
exeが書き込めない/消えるアンチウイルスがブロック作業中は一時的に停止しておく
exeがエラーで動かない管理者モードで実行していないコマンドプロンプトを「管理者として実行」で開く
pipやpythonが動かないPATH設定ができていないPythonを再インストール+「Add to PATH」にチェック



✅ よく使うオプション

オプション効果
--onefileexeを1ファイルにまとめる
--noconsole黒い画面(コマンドプロンプト)を出さない
--icon=○○.icoexeにアイコンをつける

💡 これらは組み合わせて使うこともできます!




✅ 最後に一言:

「exeができた!」だけで終わらず、
動くか?配れるか?信頼されるか?を意識することで、あなたのPythonアプリは一歩プロに近づきます。

少しずつでOK。
最初の1本を、ちゃんと動いて配れるアプリに仕上げてみましょう!